BACK PEDAL(NW地区)
隠れた名店
またまたパール地区から。
メジャーな10バレルの陰に隠れながらも(と言うか、お隣なんですが)、ここを紹介しないわけにはいかない。まさに隠れた名店「BACK PEDAL」。
もともとは料理も食べられる普通のビアパブだったようだが、お隣に強大な「10バレル」が出店したことから方針を転換。
「正攻法では立ちゆかぬ」とばかりに、料理の提供をやめ、個性的なオリジナルビールを出すことで、「10バレルからのハシゴ酒」(英語だとBar Hopping!)の利用客の取り込みをめざし、マイクロブリュワリーとして再出発することになったという。
なぜペダル??
ちなみに、ここのお店の一つの売りが「BrewCycle(ブリュー・サイクル)」と呼ばれるツアー。
BrewCycle & BrewBarge - BrewGroup Portland, Oregon
これは下の写真のように、みんなでペダルを漕ぎながら、ポートランドのブリュワリーをめぐるという、何とアホらしい・・・しかし、「盛り上がるにはもってこい!」という楽しげなツアー!
ビール&自転車というポートランドらしさ全開の体験イベントです。
この街で暮らしていると、歓声を上げつつ大声で合唱しながら、みんながワイワイとペダルを漕いで行き交う様子をよく目にします。
ペダルツアーの考案をしたのもこのお店。なお、自転車ではなく、近くの川をペダルでボートを漕ぎながらビールを楽しむツアーまであるという・・・すごい。
①ビールの味わい → 16点
では、採点へ。
一番人気は「Tropic Thunder IPA」。IPAらしい華やかさがありながらも、後味はしっかりと苦い。そして、グレープフルーツのピューレとレモングラスがフレッシュさを加えている。女性にも飲みやすいビールだと思います。
店員によるもう一つのオススメが、「Motueka Single Hop Pale」。NZ産の爽やかなホップが効き、これまた爽やかなペールエールです。
②ビールの種類 → 16点
オリジナルのオンタップは6種類ほど。IPAとフルーツを加えたビールが中心です。
その他にも、オレゴン産の他のブリュワリーのビール、サイダーなどものオンタップがあり、計14種類ほどが楽しめる。
ちょっと少なく感じるかもしれないが、これは前述の通り、酔客に対して2軒目の利用をコンセプトにしているせいかもしれない。
③ブリュワリーの雰囲気 → 20点
狭い。でも、それがまた渋い!
座席はカウンターやテーブルを入れると50席ほど。
ボードゲームやカードゲームも充実しており、ビールを片手にゲームに興じるのも何ともアメリカっぽい。
店内には先ほど書いた「ブリュー・サイクル」が「駐輪」されており、ここに座って飲むことも可能です。
④料金 → 12点
ビールの種類にもよるが、1パイントは6ドル前後。ハッピーアワーで5ドル。なので、ポートランドでは平均的なお値段でしょうか。
⑤食事 → 10点
冒頭にも書いた通り、食事はない。
しかし、だからといって0点になるわけではないのです。というのも、食べ物の持ち込みは完全に自由!
ビザ、ステーキ、チキンの丸焼き、何でもOK。外で買って来たものをビールを飲みながら自由に食べられます。
ナッツやポテトチップスを買ってきている人も多い模様。店内でも簡単なスナックは売っていますが、食事を持ち込むことで、ずいぶんと安く食べることができます。
なので、本来は食事を20点にしたいぐらいですが・・・とりあえず10点をつけました。
合計 → 74点
食事の店数が低いため、合計も少し低くなってしまいましたが、本当にオススメです!
10バレルと両方のお店を訪れることが、地元のみなさんの楽しみ方のようです。
そして、ブリュー・サイクルも!このツアーだけでも、特別に店数を加算したいほど。
ポートランドらしさを味わうには、間違いなく外せないお店だと思います。
★ひとこと★
日本でもお酒好きの人の中には、路地にあるような小さな立ち飲み屋や居酒屋を好む人も多いかと思います。バックペダルは、まさに隠れ家的な雰囲気いっぱい。こじんまりしていますが、それがかえって落ち着きます。
仲間同士で騒ぐにも、一人で静かに飲むにも、いろんな使い方ができる個人的には大好きなブリュワリーの一つです。
(なお)
10 BARREL(NW地区)
またまたパール地区から
第2回目は「10 Barrel」。
こちらも、スーパーには必ず置いてあるポートランドの定番ビールです。
しかも、前回のDeschutesと同様、このビールもなんと創業地はポートランドではなく、オレゴン州・ベンド市。ポートランドでも飲めるようになったのは2009年。パール地区のブリュワリーは2015年にオープンしました。
ちなみに10 BARRELは、ポートランダーたちが愛するNBAトレイルブレーザーズの本拠地モダセンターにも出店しています。
①ビールの味わい → 16点
定番ビールが何かを店員に聞いてみると、「いっぱいあるけど、まずはIPAからどう?」とのアドバイス。なので、「APOCALYPSE」からスタート。
10 BARRELの特徴の一つだと個人的に思っていることが、大きく外すことのない堅実な味の作りかた。悪く言えば特徴がない、良く言えばうまくまとまっている。日本の居酒屋での「まずは生」、ならぬ「まずはIPA」というスタートにふわさしいビールということろでしょうか。
有名どころでは2018年季節ビールの「Goggle Tan」。こちらはIRA(India Red Ale)の名前の通り、赤みがかったエールにホップ感をはっきりさせた味わい。全体的にうまくまとめた感のある美味しさ。とにかく飲みやすいです。
②ビールの種類 → 18点
オンタップは20種類ほど。IPAからピルスナー、スタウトまで一通りそろっています。ちょっと変わり種のビールから、ポートランドで静かな人気を呼ぶサイダーまであるので、飲み比べる楽しめそう。
もちろん、ティスティングセットもあり。
③ブリュワリーの雰囲気 → 20点
雰囲気がよい!特に2階が最高!
1階はテーブル席がメインで、カウンターで飲むこともできる。お店中央の階段を上がった2階が屋外ルーフ。カウンターで飲むよし、テーブルをい囲んでワイワイ飲むもよし。
長い雨の季節が終わりを告げ始める春先のポートランド。爽やかな夜風に吹かれながら、自家醸造のビールを楽しめるのは何とも贅沢な時間です。
④料金 → 12点
1パイント(約470ミリリットル)は5.5ドルが中心。ポートランドでは平均的なお値段。
⑤食事 → 16点
おつまみやサラダのほか、ピザとバーガーのメニューが豊富。特に自家製生地を使っているピザは10種類以上もあり、ソースやトッピングの組み合わせも盛りだくさん。
合計 → 82点
10 BARRELも自信を持ってオススメしたい。
パール地区にあるのでアクセスしやすい。他のブリュワリーと比べながら飲み歩きもできて便利。Tシャツ、ジョッキなどのオリジナルグッズもそろっています。
週末や夜間はテーブル席が混み合うことも多いけれど、携帯電話にショートメールを送ってもらえるサービスもあり。席を待つ間に2階ルーフで飲むのがオススメです!
★ひとこと★
ロケーションもよく、雰囲気もよく、ビールも豊富。やっぱり、春先からは2階ルーフで飲めるということが高評価の最大の理由です。私にとっては、ポートランドに遊びに来てくれた友人を連れて行く常連ブリュワリーです。周囲に他のお店も多いのも、観光客にとっては強みです。
(なお)
ACE HOTELで考えた「ホテルの役割」
エースホテルでミーハー気分??
一度でもポートランド旅行を計画したことがある人なら、きっとご存じの定番ホテル。
NY、カリフォルニア、シカゴなど全米に8カ所。ロンドンにもあるほか、2019年には京都にもオープン予定!創業地はシアトルだが、現在の本拠地はここポートランドなのだ。
Ace Hotel Portland | Boutique Hotel in Portland, Oregon
それは、ポートランドに引っ越して来た初日のこと。
まだ家探し中の我々は、しばらくホテル暮らしをしなければならなかった。当然、ACEホテルも頭によぎったが、「こんなオシャレホテルに泊まるなんて、いかにも過ぎるよねぇ・・・」と実は冷ややかに見ていた2人。
しかし、斜に構えながらもミーハーは私は、「・・・でも、せっかくのポートランド生活のスタートだし記念に泊まろうか・・・」と方針転換。
あっさり心を動かされ、思い切って泊まってみたのだった。
くすぐる旅ごころ
やっぱりオシャレなホテルだった。客室のちょっとした飾り付け、洗面所や浴槽などのさりげないこだわり。
1912年に建設されたホテルを改装しているので、間取り、廊下、階段などに古さを感じさせるとろこもあるが、それが見事に味わいに昇華。
私は建築やデザインの素養のない一般人だが、それでも「うーむ、アートだなぁ」と感動せずにはいられなかった。
ホテルがNYやサンフランシスコほど高くないポートランドでは、同じ料金を払えば、もっと新しく、快適なところに泊まることも十分可能だろう。
ただ、ACEホテルには、「なぜポートランドを訪れたのか」という理由のひとつが隠されているような気がした。
ホテルの役割
さてさて、ここからが本題。
「ホテルの役割」とは何だろうか。私はホテルマンでも経営者でもないが、ここに宿泊してみて、ホテルの存在意義について強く意識するようになった。
ホテルとは一般的には「旅行や出張で泊まる場所」であり、大きなホテルだと「結婚式や大きな会合をする場所」だろうか。「美味しいレストランやバーがある場所」という利用のしかたもありそうだ。
私がエースホテルで感じたことは、ホテルとは「街の顔」だということ。特に、このホテルの最大の魅力はロビーだと確信した。
実に多くのひとが訪れ、思い思いの時間を過ごしていた。
コーヒーを飲むカップル、読書をする男性、おしゃべりする女子グループ・・・などなど。そして、大半のひとは宿泊客ではなさそう。ベビーカーを押しながら、散歩がてらにくつろぐ夫婦。観光客だろうか、ロビーで写真撮影をする姿もよく目にする。
買い物袋を足元に置き、何時間も編み物をしている地元の住民らしき老婦人を眺めていると、こちらの心までも穏やかになってくる。
そして驚いたのは、ソファーで座ってコーヒーを飲んでいる我々の横で突然、出張美容室がオープンしたこと!
「ここってホテルのロビーだよね??」という我々の常識はもう通用しない。美容師さんと客の会話に耳を傾けていると、どうやら毎月髪を切りに来ている常連さんのようだった。
ちなみにロビーの利用は美容室にとどまらない。宿泊中は、地元バンドと思われるミニライブも連日開催されていた。
私のような遠方からのイチゲンさんも、世界中からの観光客も訪れる場所。そして、長年暮らすポートランド市民をも魅了する場所。それがこのエースホテルのロビーだった。
なぜ集うのか
ポートランドには歴史がもっと長く、大きなホテルはいくつもある。それらのホテルと比べると、ACEホテルのロビーは決して大きくはない。
しかし、実に多くの人が引き寄せられるように集まっている。
ロビーの隣には、ポートランド発祥で、いまや全米を代表するロースターに成長しつつある「スタンプタウン・コーヒー(STUMPTOWN COFFEE)」がある。
しかも、なぜかホテルのロビーとつながっているという不思議なつくり。カフェで飲むより、ロビーで飲む方が断然落ち着く。
そして、これまたロビーとつながっているのがお隣にある「CLYDE COMMON(クライド・コモン)」というレストラン兼バー。ポートランドのローカルビール、オレゴン産ワインも豊富で、夜遅くまで若者でにぎわっている。
ちなみに、買ったビールをロビーで飲んでいるひとも当然ながらいた。
しかし、カフェやレストランがあるだけで人が集うわけでもないだろう。ほかのホテルにだって同じような施設はある。
このロビーが醸し出す何とも言えない雰囲気。その源は一体どこにあるのだろうか。答えはいまもわからない。ただ、「ホテルのロビーは街の公共空間だ」という哲学をACEホテルの姿勢からひしひしと感じる。
ポートランドで暮らし始めた私は、いまでもときどき立ち寄っては読書をしたりしている。というか、このブログもACEホテルのロビーで書いているところだ。
ポートランドは人口約60万人。決して大都市ではない。
こうした「街の顔」としてのホテルを中心部に持つことは、観光客にとっても市民にとっても幸せなことだろう。
日本の地方都市でも、多くの人が集い、愛されるホテルのロビーが増えていけば、街がもっともっと面白くなっていくのかもしれない。
(なお)
DESCHUTES(NW地区)
初紹介は・・・
記念すべき第1回目、まずはメジャーなブリュワリー「DESCHUTES(デシューツ)」から。NW地区にあります。
https://www.deschutesbrewery.com/
ポートランドのスーパーのビール売り場に行くと、かならずと言っていいほど見かける定番ビール。
米ブリュワリー協会によると、2017年の全米クラフトビール売り上げランキングで、堂々の10位。(2位は日本でも有名な「サミュエル・アダムス」!)
しかも、このビール、実は創業地がポートランドではないのです。オレゴン州中央部、人口約8万人のベンド市に1988年に誕生しました。
着実にファンを増やし、ポートランドにオープンしたのが2008年。
ポートランド生まれではないにも関わらず紹介したのには理由があります。実は我が家に最も近いブリュワリー。窓から見えます。そんな理由でご紹介してすみません・・・ただし、本当にオススメなのです!
①ビールの味わい → 16点
スタッフによると、お店のいち押しはペールエール。
2枚看板のひとつ「Mirror Pond Pale Ale」は、きれいな銅色の正統派ペールエール。香りとほどよい苦さがに、すっきりとした爽やかさが残る。ホップもオレゴン生まれの「Cascade」だけを使うという潔さ。
2枚看板のもう1種類、「Black Butte Porter」はその名の通りの黒ポーター。クリーミーな泡にコーヒーやチョコレートを感じさせる風味と色合いで、芳香あるビールにもかかわらず飲み口は意外にさっぱり。苦みもそこまで強くないので、どんな料理にも合いそう。
最後にもう一つ。個人的に好きなのが「Fresh Squeezed IPA」。これはスーパーで買ったボトルビールですが、ラベルが表す通り、とにかくフルーティーなIPA。
パンチの効いた苦みがありながらも、「これでもか!」とホップをふんだんに使ったこの華やかさ。IPA好きならハマること間違いなし。ぜひ一度お試しを!
②ビールの種類 → 18点
オンタップは常時20種類以上。IPAの種類も多いほか、ピルスナー、スタウトといろんなビールを楽しめる。なんと、グルテンフリーのビールまで!
どれを選ぶか迷ったら、ティスティングセットから始めるのもあり。好きなビールをどれども6種類選んで飲める。13ドルなり。
③ブリュワリーの雰囲気 → 16点
店内は広く、明るく、開放的な雰囲気が気持ちよい。カウンターで飲めば、店員とオススメのビールの会話で盛り上がれる。
個人的には、年季の入った、少し薄暗いような、渋い酒場の雰囲気が好きなので16点としたが、テーブル席、ボックス席もあるので、カップルでも友人同士でも子連れの家族でも、楽しみ方は自由自在なのがいいところ。
④料金 → 12点
ハッピーアワーでは$4前後だが、通常は1パイントで$6。ポートランドでは平均的な値段と言えそう。
⑤食事 → 20点
お手軽おつまみから、サラダ、ハンバーガー、ステーキまで何でもある。専属シェフも腕をふるっており、料理の充実度はブリュワリーの中でも群を抜いている。レストランとして利用するのもOK。
合計 → 82点
自信を持ってオススメできるブリュワリーの一つ。
パール地区にあり、アクセスも良好。ポートランドの滞在日数が少なければ、是非行っておきたい。Tシャツ、ジョッキなどのオリジナルグッズもあり。
ただし、週末はお店の外にまで行列ができることもあるので要注意!
★ひとこと★
ご近所さんなのに加え、実はポートランドに引っ越して来た翌日に行ったという思い出あるブリュワリー。なので、あえて紹介させていただきました。
(なお)
ビール放浪記
片雲の風にさそわれて、ビールへの思いやまず・・・。
縁あって暮らし始めたポートランド。
以前から知ってはいたものの、この街のビールへの愛情には驚きっぱなし。ビール醸造所の数は100を超え、ビールの種類だけでもなんと約1万4000!!
全米一どころか、世界一のビールの街でした。
ビール好きの一人として、ポートランドで暮らす幸せを味わいつくさない手はない。
そんなわけで、自分の足で訪れ、実際に味わったビールをご紹介していきたいと思います。メジャーなローカルの醸造所(メジャーなのにローカル・・・これもポートランド)から個人経営のマイクロブリュワリーならぬナノブリュワリーまで、独自に採点してみました。
「おまえの主観などどうでもいい!」とお思いのあなた。確かに、人によって嗜好は大きく違います。お酒の味となれば、なおさらでしょうか。
ですが、敢えてここは私の独断と偏見で評価します!
①ビールの味わい
一番大事な要素!
②ビールの種類
飲み比べの楽しみも大切!
③ブリュワリーの雰囲気
お酒の味は雰囲気にも左右される!
④料金
安い方がうれしい!
⑤食事
酒席に彩る美味しい料理!
各20点、合計100点満点です。いずれも2018年時点での情報をもとにしました。なお、ポートランドの地区を「NW(北西)」「NE」「SW」「SE」など大まかにわけてご紹介します。
飲み歩きながら随時加筆していきますので、のんびりお付き合いください。
「ポートランドに行くんだけれど、どこでビールを飲めば・・・」とお悩みのみなさんのご参考になれば幸いです。
(なお)